ブライダル業界の課題
ブライダル企業、とりわけ結婚式場の業績は決して好調とはいえず、集客の不振や参列人数の減少による単価の下落に頭を悩ませている式場経営者は少なくないのではと思います。このような現状の大きな要因として考えられるのが市場規模の縮小です。市場規模が縮小し、働く人が減る。その結果としてサービス力が低下する。サービスが低下することにより市場のニーズを満たすことができず、さらなる市場規模縮小につながるという負のスパイラルに陥っています。
ブライダル業界はプロダクトライフサイクルでいう「安定期」にあると言えます。安定期にある市場の中で、ブライダル企業が生き残るためには、高い顧客体験価値を提供し続けることが重要です。
高い顧客体験価値を提供するには以下の3点を踏まえる必要があります。
● 結婚式を行う意義を考え直し、結婚式の本質を捉えること
● 他社には真似できない、独自のサービスを提供すること
● 会社の想いに共感してもらう共感経営
結婚式を行う意義を再定義し、サービスに落とし込むこと。またその意義を発信し、自社の考え方に対して共感してもらえる経営を行うことで、高い顧客体験価値の提供が可能になります。
しかしながら、多くのブライダル企業は慢性的な人手不足であるということも事実です。日々の業務をこなすことに精一杯で、サービス力の向上は二の次となっている結婚式場は少なくないはずです。
このような局面を打開する糸口として、AIの活用を考えてみてはいかがでしょう。この記事では、ブライダル企業の課題とその解決策になり得るAI戦略について解説します。実用的なAIツールである「引き継ぎ書AI」を例に挙げ、ブライダル業界におけるAI活用のヒントをご提供できればと思います。
人員不足がボトルネック
AI活用の目的は人員不足の解消
ブライダル企業の生き残り戦略を考える上で、人員不足がボトルネックとなっていることがおわかりいただけたでしょう。AIを活用することが人員不足解消の糸口となるでしょう。しかしながら、AIを活用することで具体的にどのような効果があるのかが分からなかったり、AIの導入自体が目的となって本来の目的を見失ったりする企業が多くあります。
AI活用の本来の目的は、「業務効率化によって人手を空け、人にしかできない仕事に時間をかけること」です。AIを活用することで工数を削減し、サービス力の向上などに時間を充てることができます。AIを活用することのメリットは「人にしかできない、より重要な仕事に割く時間を最大化できること」です。しかし、多くの企業はAIツールの導入そのものを目的化してしまい、ツールを取り入れるだけで満足しているのが現状です。これでは、AIの真価を引き出すことは難しいでしょう。
AIツールを導入することで、確かに業務効率化は実現できますが、その効果を最大化するには、効率化によって浮いた人手をどう活用するかという戦略が欠かせません。AIの導入は手段にすぎず、それによって達成したい明確な目標が設定されていなければ、ただコストがかさむだけの結果になりかねません。AIツールの導入によって確保できた時間や人的リソースは、顧客体験の向上に充て、自社独自のサービスの向上に注力すべきです。そのためには、AIツール導入前から「何のためにAIを活用するのか」という目標を明確にし、それに基づいた導入計画を立てる必要があります。
AIツールの導入を目的ではなく手段と捉え、本質的な目標を意識することが、AI活用の成功に繋がる鍵となるのです。
AI導入事例「引き継ぎ書生成AI」
株式会社船井総合研究所には、様々な業種業界へのAIツール導入実績が数多くあります。数ある事例の中で、ブライダル企業においても効果を発揮できそうなのが「引き継ぎ書生成AI」です。
具体的な活用方法
引き継ぎ書生成AIとは、業務の引継ぎの際に生じる無駄を省くことを目的とした独自のAIです。
お客様にヒアリングした内容を録音し、内容の文字お越しを行います。文字に起こしたヒアリング内容を、引き継ぎ書フォーマットの形式で要約する機能を持っています。ブライダル企業が引き継ぎ書生成AIを活用することによって、さまざまな効果が得られるでしょう。
引継ぎ書 生成AI導入に期待される成果
引き継ぎ書生成AIの導入によって得られる効果は主に以下の3点です。
1.ヒアリング内容の抜けもれ防止
2.引き継ぎ書作成の時間を大幅に削減
3.空いた人手と時間を活用し、より重要な仕事に充てられる
1.ヒアリング内容の抜けもれ防止
婚礼の新規接客では、担当者がお客様にヒアリングしながら、その内容を記録し、引き継ぎ書を作成するでしょう。この過程の中で、お客様が話した内容を、「完全に抜けもれなく」「認識の齟齬なく」担当プランナーに引き継ぐことができるでしょうか。
引き継ぎ書生成AIはヒアリングの内容を録音するため、人手を介すよりも確実に情報を収集し、伝達することができます。
2.引き継ぎ書作成の時間を大幅に削減
また、引き継ぎ書の作成にはかなりの時間を要することでしょう。新規接客ごとにヒアリング内容をとりまとめ、決まった形式に落とし込む。ヒアリングの時間なども考慮すると、新規接客に伴う引継ぎ業務には多大な時間を割くことになります。
実際に、ある企業では社内の引継ぎ業務の工数が課題となっていました。引き継ぎ書生成AIを導入したことで、これまで1時間以上かかっていた引き継ぎ業務を30分まで削減することができました。さらに精度も上がるということであれば、使わない手はないと考えます。
3.空いた人手と時間を、より重要な仕事に充てられる
AIツールの導入を行う上で、最も重要なポイントです。引継ぎ書生成AIによって確保できた人員と時間を、より重要な仕事に充てられます。重要な仕事とは具体的に、サービス力の向上や自社独自の価値観の形成、発信などが挙げられます。ブライダル企業の生き残り戦略として、顧客体験価値の向上は取り組まざるを得ないものです。結婚式の本質をとらえた独自のサービス提供により、共感経営にシフトすることで、持続的な成長につなげることができるでしょう。
まとめ
ブライダル業界は、市場規模の縮小や人手不足といった課題に直面しており、生き残るためにはAIの活用が重要です。しかし、AI導入においては、目的を明確化し、手段として活用することが成功の鍵となります。
AI活用の本来の目的は、業務効率化によって生まれた時間を、人にしかできない仕事に充てることです。例えば、AIツール「引き継ぎ書生成AI」を活用することで、ヒアリング内容の抜け漏れ防止、引き継ぎ書作成時間の削減が可能となり、空いた時間をサービス力の向上や独自の価値感の明確化に充てることができます。
ブライダル企業は、AIを導入することで、業務効率化だけでなく、顧客体験の向上や独自サービスの開発に注力し、持続的な成長を目指すべきです。AIはあくまで手段であり、その効果を最大化するためには、明確な目標設定と戦略的な活用が不可欠です。
AIの活用は、安定期にあるブライダル企業が生き残るために重要な役割を果たします。結婚式の本質を捉えなおし、独自のサービスを提供し続けることで、共感経営を実践していきましょう。このようにして高い顧客体験価値を生み出すブライダル企業となることで、持続的な成長を実現できるでしょう。